航空会社がアルコール類を有料化している?
ここ数年、国際線の飛行機内で少々異変が見られるといいます。
以前なら、機内での飲食は「機内サービス」として無料で提供されていましたが、このところの原油価格の高騰の影響でアルコール類を有料化する航空会社が出てきているのです。
酒好きにとっては旅の楽しみを一つ奪われた気分でしょう。
フライト中にアルコールを摂取するのは危険な行為?
しかし、フライト中にアルコールを摂取するのは、実はとても危険な行為です。
酔っぱらって他人に迷惑をかけるのも危険ですが、本人も脱水症状を引き起こして死に至りかねないのです。
それでなくても機内は乾燥していて、長時間のフライトとなると湿度は20パーセントにまで下がります。
座っているだけで、体内から1時間に80ccくらいの水分が奪われていくのです。
そんな環境の中で、ビールなど利尿作用の高いアルコール飲料を大量に飲むと、もう体の中はカラカラ状態になります。
飲んでいる本人は水分を摂っているつもりかもしれませんが、トイレに行くたびに飲んだ量以上の水分が出てしまいます。
そのまま水などを飲まずにいると、しだいに喉の渇きだけでなく、頭痛やめまいを引き起こします。
さらに水分が減るとドロドロになった血液で血管が詰まり、脳梗塞や心筋梗塞なども引き起こしかねません。
最悪の場合「死」が待っているのです。
「エコノミー症候群」とは?
イギリス人女性が長時間フライトの後、空港で死亡したことで一躍知られるようになった「エコノミー症候群」も、水分不足で血液中に血栓という血の塊ができたことが原因です。
飛行機で長時間飛行したあと、飛行機を降りて歩き始めたとたん、急に呼吸困難やショックを起こし、ときには亡くなることもあります。
長時間のフライトでは、長時間狭い椅子に座ったままの状態を強いられることが多く、足の血液の流れが悪くなり、静脈の中に血の塊(静脈血栓)ができることがあります。
この静脈血栓は歩行などをきっかけに足の血管から離れ、血液の流れに乗って肺に到着し、肺の動脈を閉塞してしまいます。
これが「エコノミークラス症候群」と呼ばれる病気の典型的なケースです。
彼女がお酒を飲んでいたかどうかは定かではありませんが、長時間のフライトというのは普通にしていてもリスクが大きいものです。
いくらタダ酒だからといって、やたらに飲むのはスマートではありませんし、それに命まで落としてしまっては元も子もないと肝に銘じたいものです。
最近では、「エコノミー症候群」は飛行機の中だけの話ではなくなってきています。
大規模災害での避難時に、長時間車の中に居続けたために、「エコノミー症候群」を発症した例も多くみられています。
「エコノミー症候群」を予防するためには、定期的に立ち上がり歩くとか下図のような軽い運動をするのが効果的といわれています。