ファーストフード店で注文をすると、「こちらでお召し上がりになられますか?」と、たいていこんな台詞が返ってきます。
「お召し上がりになられる」は敬語として正しくない?
普段は当たり前のように聞き流していますが、じつはこれこそが「二重敬語」というもので、敬語としては正しくはないのです。
もっとも、これはお店の接客マニュアルが正しくないのが原因かもしれませんが。
「お召し上がりになられる」を分解すると、「お」+「召し上がる」+「~になられる」となります。
「召し上がる」だけで「食べる」の尊敬語であるのに、さらに「お」+「~になられる」という敬語までついてしまっています。
正しくは、「こちらで召し上がりますか?」なのです。
こんなシンプルな言い方で十分に敬語として成り立っているのです。
その他の間違っている例は?
間違った言い方として多く見られるのが、「お越しになられる」、「おっしゃられる」、「お帰りになられる」、「ご覧になられる」などです。
敬語というとどうしても「お」や「ご」+「~られる」の形にしたくなってしまうのかもしれません。
正しくは、「お越しになる」、「おっしゃる」、「お帰りになる」、「ご覧になる」です。
「お(ご)」をつけた時は「れる(られる)」はつけないのが正しいのです。
逆に、「れる(られる)」をつけたら「お(ご)」はつけないと覚えておくといいでしょう。
たとえば、「お帰りになられました」は誤りであり、正しくは「帰られました」、もしくは「お」をつけるのなら「お帰りになりました」になるのです。
ちなみに、「お考えになっていらっしゃいます」は二重敬語でしょうか?
答えは「ノー」です。
なぜなら、「考える」の敬語が「お考えになる」であり、「いる」の敬語が「いらっしゃる」だからなのです。
それぞれ別の動詞なので「二重敬語」ではないのです。
意外と使ってしまいやすい「二重敬語」。
特に接客に携わっている人は、特に気をつけたいものです。