「阿吽(あうん)の呼吸」とは?
二人の人間がぴったりのタイミングで行動を起こすことを「阿吽(あうん)の呼吸」と呼びます。
「あ」は口を開いて出す音、「うん(ん)」は口を閉じながら出す音です。
これが「息を吐く」、「息を吸う」という呼吸をイメージさせ、「息をそろえての行為」を意味するようになりました。
この「阿吽」はもともとサンスクリット語が起源です。
サンスクリット語では最初の音が「あ」、最後の音が「うん(ん)」とされることから、さまざまな物事の初めと終わりを示しています。
そのため、仏教の世界では「阿吽」がよく用いられます。
「金剛力士像」、どっちが「阿」でどっちが「吽」なの?
例えば、お寺の門に左右に設置されている「金剛力士像」は、二体でセットになっており、一方が「阿形像」、他方が「吽形像」と呼ばれます。
両者の違いは口の形で識別できます。
「阿形像」は、口を「あ」の形に開いています。
逆に「吽形像」は「うん(ん)」の形に口を閉じています。
一般に、右側に「阿形像」、左側に「吽形像」が配置されることが多いですが、必ずしもそうとは限りません。
「金剛力士像」はなにを意味しているの?
「金剛力士像」が門に設置される理由は、お寺の出入り口の警備を象徴しています。
「金剛力士」は、普段は穏やかな「帝釈天」が怒ったときに変化する姿を表しています。
怒ると二つの身体に分離して、仏敵と戦うのです。
その姿が「金剛力士」と呼ばれるのです。
したがって、「金剛力士」は二つの像として作られます。
そして二体の「金剛力士」は、仏敵がお寺に入ってこないように、門のところでにらみを利かしているわけです。
ちなみに、現存する「金剛力士像」は状態が悪化しているものが多いです。
それは門に設置されるために、長年にわたって風雨にさらされてきたからです。
お寺のガードマンともいえる「金剛力士像」の悲しい宿命ともいえます。