缶コーヒーのサイズは他と比べて小さくない?
数多くのブランド、名称の缶コーヒーがありますが、他の缶ジュースなどに比べると、缶コーヒーのサイズはひと回りり小さいと思いませんか?
そこにも、やはり何らかの理由があるのでしょうね。
じつは、最初は250グラム缶で発売されていましたが、その後、量を少なくしておいしさをアピールした190グラム缶が登場しました。
これが大ヒットしたため、以後、190グラム缶が定着するようになっています。
ちなみに、190グラム缶が発売されたのは、飲料メーカーのポッカ(現ポッカサッポロ)が行った調査が関係しています。
ポッカは、「ドライブ中に飲みやすい缶コーヒーの分量は何グラムか」という調査を行い、そこから、190グラムがベストという結論が導き出され、発売に至ったのです。
そして、それが大ヒットしたため、他のメーカーも追従したというわけです。
最近では、ボトル形状のボトル缶が登場し、通常の缶形状のものから人気がシフトしています。
ボトル缶が人気となっている理由は、やはり仕事中、移動中、運転中などに再栓(リキャップ)することができるためでしょう。
しかし、ボトル缶でも基本的にはコーヒーの分量はほとんど変わっていません。
もっとも、分量の多い缶コーヒーも出てきていますが。
なぜスチール缶なの?
缶には柔らかくてつぶしやすいアルミ缶と硬いスチール缶がありますが、なぜかアルミ缶入りの缶コーヒーを見かけませんね。
そこにも、何か理由があるのでしょう。
それは、缶コーヒーはコーヒーを缶に詰めた後、高温で殺菌処理しなければならないからです。
長期保存のために必要な工程なのですが、この処理に柔らかいアルミ缶は耐えられないのです。
そのため、どんなにブランドが一新されようとも、缶コーヒーの容器がスチール缶であることには変わらないと思われてきました。
ところが、最近はスチール缶にかわりアルミ缶も目にするようになりましたし、増えてきているようです。
スチール缶に比べてさびにくく、軽くて輸送しやすいなどメリットの多いアルミ缶ですが、アルミ缶を使用しなかったのは、衛生管理の面から業界の団体である「全国清涼飲料工業会」が、アルミ缶を使用しないよう以下のように自主規制していたからです。
缶飲料で怖いのは致死率の高いボツリヌス菌で、スチール缶だと菌が増殖すれば缶が膨張するので、消費者が飲むときに気づくことができます。
しかし、アルミ缶は薄くても強度を保てるように、内側に窒素ガスなどを入れて内圧を高めて膨らんでいるため、気づくことができません。
そこで協会は1985年に、ボツリヌス菌が入る恐れがある「高温殺菌を必要とする飲料」については、アルミ缶を使わないよう自主規制をしたわけです。
しかし、その後の研究で、ミルク入り飲料だけが危険だということがわかり、1988年からは範囲を狭めました。
これにより、ミルクの入っていないブラック・コーヒーについては、アルミ缶の使用が認められました。
さらに2014年には、衛生管理の進歩等を踏まえてミルク入り飲料についてもアルミ缶の使用が認められるようになり、ミルク入りコーヒーにもアルミ缶の使用が進みつつあります。
やはり、ここにも技術の進歩があったのですね。