「イギリス王室御用達」とは?
「イギリス王室御用達」という言葉からどのようなものを思い浮かべるでしょうか?
すぐに思い浮かべるのは、高級スーツやドレス、ジュエリー、紅茶など高級な品々と思います。
しかし、実際には王室で働く人の作業着から庭園の芝刈り機、王室で使用するエンジンオイルなど、身の回りの品々から宝飾品まで、世界中から選りすぐりの約800品が「王室御用達」として認可されています。
「宮内庁御用達」とは?
この「御用達」という表記は、一般には「ごようたし」と読みますが、もちろん日本にもあります。
「宮内庁御用達」あるいは「皇室御用達」と書かれているのを見たことがあるでしょう。
皇室や宮内庁に品物を納めるのだから、厳しい審査を経て「御用達」を名乗る許可を得ているに違いないと、商品の質や価値に信頼を寄せてしまう人も多いはずです。
ところが、この「宮内庁御用達」の制度はとうの昔に廃止されているのです。
「宮内庁御用達」の制度が始まったのは、1891年(明治24年)です。
当時の宮内省による厳しい審査をクリアした事業者には、「宮内省御用達」の商標と皇居への通行証が与えられました。
その後、宮内省から宮内庁となった1954年(昭和29年)に、「御用達」制度は廃止されてしまったのです。
「宮内庁御用達」って勝手に名乗れるの?
今から60年以上も前に廃止されたのに、現在でも「宮内庁御用達」の看板や表示を使用している業者はあります。
その多くは、制度があった時代から宮内庁に納入していた実績のある業者や皇族に品物を献上している業者です。
その意味では優れた品質に違いはないでしょう。
ただし、問題なのは宮内庁と取引がないにもかかわらず、「宮内庁御用達」を勝手に名乗る業者もいることです。
しかも、法的に問題がないというから驚きです。
「景品表示法」は消費者に誤解を与える大げさな表示や嘘の表示を禁じていますが、それは商品の品質に関することです。
ところが、「宮内省御用達」は、宮内庁との取引の有無を表すもので、品質とは無関係ということなのです。
したがって、「宮内庁御用達」と偽っても「景品表示法」では違法にならないというのです。
なにか法律の抜け道を悪用しているようで、釈然としませんね。