相撲の決まり手とは?

日本における最古の相撲は、今から2000年以上も前の紀元前23年、垂仁天皇の御前で「野見宿禰(のみのすくね)」と「当麻蹴速(たぎまのくえはや)」によって行われたとされています。

日本書紀にあり、神話ではなく、人と人との相撲の起源とされています。

両者はお互いに蹴りあって、最後は「野見宿禰」が「当麻蹴速」のあばら骨や腰骨を踏み砕いて殺してしまったといいます。

何とも恐ろしい決まり手ですが、現在の相撲では、相手の胸や腹を蹴るのは禁じ手です。

日本相撲協会が定めた相撲の技(決まり手)は、「寄り切り」や「押し出し」など82手で、それ以外にも「勇み足」や「つき手」など「非技(勝負結果)」と呼ばれるものが5つあります。

このうち、最も多い決まり手が「寄り切り」と「押し出し」で、この2つで勝負の半分が決まるといいます。

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「土俵」は完全な円ではない? どうして?

さて、この「寄り切り」と「押し出し」も、相手の身体を「土俵」の外に出すことで勝負が決まりますが、この「土俵」をよく見ると、完全な円ではなく、東西南北の4ヵ所だけ俵が外側にずらしてあります。

これら4つを「徳俵(とくだわら)」と呼びます。

寄り切られそうになったり、押し出されそうになったりした力士でも、この部分をうまく利用すれば足を残せます。

「徳俵(とくだわら)」に足を残し踏ん張っている力士のイラスト画像

つまり、「トクをする」から、この名前がついたという説があります。

しかし、「徳俵」が置かれている本来の意味は、押し込まれた力士をわざわざ助けるためではありません。

どんな意味があって、他の俵とずらして並べられているのでしょうか?

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その理由は、「水はけ」をよくするためなのです。

その昔、相撲は野外に「土俵」を作って行われていました。

そのため、雨が降ると「土俵」の内側に水が溜まってしまいます。

その水が俵の外に流れ出るように、東西南北に水の掃き出し口を設けたのです。

それが「徳俵」の由来なのです。

現在の相撲は年6回の本場所のほかに地方巡業もありますが、そのほとんどが多目的施設や体育館など屋内に「土俵」を作って行われています。

そのため、今では「土俵」が雨にさらされることはなく、「徳俵」が溜まった水を掃き出すという本来の役割を果たすこともあまりなくなってしまいました。

しかし、形としては今も残っているわけです。

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