「神話」と「古事記」
戦前まで、小学校で使う歴史の教科書には日本の神話が書かれていたことをご存知でしょうか?
なんと、子供たちは、日本は神代の時代から続く国であり、天から神様が降りてきて国を作ったのだと、というように教えられていたのです。
戦後、そのような部分は一切削除されたのはいうまでもありませんが、この神話の原点ともいわれているのが日本最古の書物「古事記」です。
「古事記」ってどんな内容なの?
「古事記」は、和銅5年(712年)に元明天皇の命を受けた太安万侶(おおのやすまろ)が稗田阿礼(ひえだのあれ)という人の口誦(口伝)(天武天皇の命で稗田阿礼が「誦習」していたもの)をもとに編纂したもので、つまりは大昔から代々語り伝えられた話を集めた書物なのです。
戦前までは、皇室の祖先のことが記載されていることから、単なる歴史書としてではなく神典としても扱われていました。
「古事記」は全三巻構成になっており、第一巻には伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)の国生み神話をはじめ、須佐之男命(すさのおのみこと)の八岐大蛇(やまたのおろち)退治の話や大国主神(おおくにぬしのかみ)と因幡の白兎の出雲神話、天孫降臨神話など、数多くの神話が網羅されており、物語として楽しめる内容になっています。
皆さんも子供の頃に童話として聞いたことのある神話もあるのではないでしょうか?
第二巻と第三巻は、神話ではなく、初代神武天皇から第三十三代推古天皇までの事歴について詳しく書かれています。
「古事記」が編纂されてから8年後の養老4年(720年)には「日本書紀」も編纂されましたが、こちらの方は中国の史書と同じように年月日も詳細に書かれており、「古事記」に比べると史実性が高いという評価もあります。
この「古事記」と「日本書紀」は合わせて「記紀」と呼ばれ、日本古代の歴史を研究する上で欠かすことができない資料としても認められているのです。
今では、現代語訳版なども出ていて、より一層読みやすくなっています。
日本人としてのアイデンティティーを探る上でも一度は読んでみるのもいいでしょう。
特に、第一巻の神話の世界にひたってみませんか?