「四季」を楽しむ日本人
日本は「四季」がはっきりしている国です。
季節の移り変わりを感じるイベントが四季折々にあります。
1月の「お正月」、2月の「節分」、3月の「ひな祭り」、4月の「花見」、7月や8月には「盆踊り」や「花火大会」、9月には「お月見」、10月には最近定着してきた「ハロウィン」、12月には「クリスマス」など。
日本人は季節の移ろいを楽しむのが得意な国民といえるでしょう。
とりわけ、日本人にとって特別な意味をもつのが「花見」です。
日本人が「桜」を好きなのはなぜ?
「桜」の開花情報がテレビのニュースでも報じられるのを見ると、外国人は「なぜ、日本人はそんなに桜が好きなのか?」と不思議に感じるといいます。
その理由はさまざまに考えられますが、「桜」が一斉に咲いて、パッと散る姿に美しさだけでなく、潔さ、もの悲しさ、はかなさなどを感じるからといえるでしょう。
「諸行無常」や「もののあはれ」などの日本的な美学値通じる部分があります。
それを感じるのは、日本人の「DNA」といってもいいのではないでしょうか。
というのも、日本人が「桜」を愛するようになったのは、最近のことではないからです。
日本人が「桜」を愛するようになったのはいつ頃?
平安時代の歌人である在原業平は、「桜」への想いを次のような歌で表現しています。
「~世の中に たえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし~」
「この世に桜の花がまったくなかったら、春の心は穏やかであるだろうに」という意味ですが、もちろん「桜」がないほうがいいといっているわけではありません。
心をかき乱す「桜」の美しさへの愛情と執着を逆説的に表現しているといえます。
この歌が詠まれたのは、今から約1200年前とされますが、「桜」の人気が高まり始めたのはどうやらこの平安時代のようです。
平安時代の前の奈良時代の和歌で「花」といえば「梅」のことでした。
これが平安時代になると、それまでの中国風文化に代わり、日本的な優美さを好む国風文化がはやり、「桜」の人気も高まっていったと考えられています。
豊臣秀吉は、醍醐寺に700ほんもの「桜」を植えさせ、1598年の春には盛大な「花見」を開いています。
江戸時代には「桜」の品種改良が進み、江戸末期には「そめいよしの」が生まれました。
「花見」の風習が広く庶民に広まったのも、じつは江戸時代なのです。