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落語家の「真打ち」という言葉をよく聞きますよね
落語家の「真打ち」という言葉をよく聞きますが、そもそもどんな意味からきているのでしょうか?
また、「真打ち」になるまでにどのような修行をするのでしょうか?
落語家の「真打ち」ってそもそもどんな意味?
「真打ち」とは落語家の身分で、もっとも位が高く、寄席でも最後(トリ)に出演する資格を持ちます。
「師匠」と呼ばれ、弟子を取ることも許される、名実ともに最高の称号です。
その「真打ち」の語源には諸説がありますが、有力な説は「ロウソクの芯を消す芸人」からきているというものです。
「真」はロウソクの「芯」のことで、最後に室内に灯したロウソクの芯を切って消す(= 打つ)ことができるのは、最後の出演者だけであるという意味合いです。
そこから、最後(トリ)に出演する芸人を「芯打ち」とし、縁起を担いで、「芯」から「真」に換え、「真打ち」と呼ぶようになったといわれています。
では、落語家は師匠に弟子入りしてから、どのようにして「真打ち」になるのでしょうか?
「弟子入り」から「真打ち」になるまでの修行は?
「弟子入り」
落語家になるには、まず第一に「真打ち」の師匠を選び、弟子入りしなければなりません。
最初は「弟子入り」を断られるものですが、そこを何度でも頼み込んで弟子にしてもらうのです。
弟子入りが叶うと、そこから「前座見習い」となります。
「前座見習い」
師匠が弟子入りを許可すると「前座見習い」となります。
この時点では、まだ楽屋には入れません。
「前座見習い」の仕事には、次のようなものがあります。
- 師匠(あるいは兄弟子)に付いて仕事先へのかばん持ち
- 師匠の家の雑用
- 「前座」になるための修業(落語の稽古、着物の着方やたたみ方、鳴り物の稽古など)
これらがある程度できるようになると、師匠から許可が出て晴れて楽屋入りができる「前座」となりますが、この期間は師匠によってまちまちです。
「前座」
「前座」とは、寄席の番組で一番前に高座へ上がるので「前座」といわれます。
「前座」の仕事には、次のようなものがあります。
- 「前座見習い」と同じ仕事
- 寄席での仕事
・楽屋の掃除
・お茶を入れる準備
・その日出演する芸人のメクリ(高座で名前が書いてあるもの)を揃える
・着物に着替え
・開演30分前に一番太鼓を打つ(これにあわせてお客様が入場)
・楽屋入りしてくる先輩の芸人さんたちのお世話
・開園5分前に二番太鼓を打つ
・開演後一番に出演(10分程度の落語)
・その後の落語と落語の間に座布団を裏返し、メクリをめくる
・鳴り物(出囃子や地囃子や踊りの時の太鼓)実行
・楽屋内で、先輩方にお茶出し、師匠方の着替えの手伝いなど
・最後の師匠(トリ)が高座へ上がると、楽屋の後片付け
・トリの落語が終わると追い出し太鼓を打つ - その他
・空いている時間に、師匠方に噺の稽古をつけてもらう
・人によっては他の稽古事
「前座」は毎日寄席に通わなければなりませんので、お休みはほとんどありません。
毎日毎日この繰り返しをして、約4年で「二ツ目」になります。
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「二ツ目」
「二ツ目」とは、寄席の番組で二番目に高座へ上がるのでそのように呼ばれます。
「二つ目」になると、
- 師匠の家や楽屋での雑用がなくなる
- 着物も、今までは着流しだったのが紋付・羽織・袴を着けることもできる
- 毎日楽屋へ来なくてもいいようになるため、出演する高座の数も減る。
したがって、自分の責任で高座(仕事)を探さなくてはならない。
そのためには、噺の稽古(噺の数や技術)をしっかりしなければならない。
「二ツ目」を約10年勤めると、いよいよ「真打ち」になります。
「真打ち」
「真打ち」になったからといって最後ではありません。
実は、ここからがスタートだといってもいいかもしれません。
とにかく落語家は、一生が修業で勉強していかなければならないのです。
高座で皆さんを笑わせている「真打ち」の方々も、そこに至るまでにはこのような厳しい修行をされ、また今後もされるのですね。