「クレオパトラ」と「チーク」
「世界三大美女」といえば、エジプトの「クレオパトラ」、中国の「楊貴妃」、そしてもう一人は「小野小町」?
三人目を「小野小町」とするのは日本だけなのです。
海外では、ギリシャ神話のトロイ戦争の原因にもなった「ヘレネ」とするのが一般的です。
このクレオパトラが愛用したメイクが、「頬紅」とされています。
いわゆる「チーク」です。
クレオパトラのような美人でも、やはりさらなる美を求めて化粧をしたと思うと、女性の美を追求する気持ちに終わりはないのでしょう。
クレオパトラではなくとも、日本女性でも自分を美しく見せるための化粧には余念がありません。
ファンデーションを丁寧にしっかりと塗り、眉を整え、アイラインや、チーク、口紅もしっかりと引きます。
そのためか、外国人からは「日本の女性は、きちんとメイクアップしている」と見えるそうです。
その中には「化粧が濃い」という声もあるようです。
そういわれてみると、欧米の女性では、たしかにナチュラルメイクが多いような気もします。
それでは、なぜ日本の女性は「化粧が濃い」のでしょうか?
なぜ日本の女性は「化粧が濃い」のか?
じつは、日本には昔から「濃い化粧」の文化があるのです。
伝統芸能の歌舞伎では、顔全体を白く塗ったうえで、赤や青、黒で極端なメイクをします。
芸者さんも顔から襟元まで真っ白に塗り終わった後に、口紅をさすことで、白い顔に黒目と赤い口紅が強調されて美しく見えます。
さらに、時代をさかのぼり、有史以前の日本の様子を記した「魏志倭人伝」には、「体に朱丹を塗っている」という記述があります。
朱丹とは、赤い色のことです。
古代から日本人は顔や体に赤い色を塗っていたのです。
その理由は、赤い色が災厄を除けると信じられていたからといわれています。
さすがに、現代の若い女性が、厄除けの意味で頬を赤く染めることはないでしょう。
ただ、古代のこれらの風習が脈々と受け継がれ、形を変えながらも現代の女性の化粧に影響を与えていることはあるかもしれません。