「スイス」の正式名称は「スイスランド」ではない?
「スイス連邦(通称:スイス)」は永世中立国として有名ですが、「スイスの正式名称は?」と聞かれたら「スイスランド(Switzerland)」と答えてしまう人も多いかもしれません。
これは別に間違いというわけではなく、現にオリンピックでは「スイスランド」と紹介されています。
「スイス」の正式名称は「ヘルべチア連邦」だって知ってた?
しかし、「スイス」では自国の名称を「ヘルべチア連邦(Confoederatio Helvetica)」としているのです。
「ヘルべチア」とは、紀元前5世紀頃に「スイス」周辺にいたケルト系民族の「ヘルべチア人」のことであり、かつては「ゲルマン人」と同じくらい勢力を保っていた民族なのです。
「スイス」の通貨や切手、車のナンバーにもこの「ヘルべチア」という名称が使われていますが、じつはこの言葉は「ラテン語」なのです。
なぜ「ラテン語」が使われているのかというと、「スイス」という国は面積が狭いにもかかわらず、「公用語」にドイツ語、イタリア語、フランス語、ロマンシュ語という4つの言葉が使われていることにあります。
「スイス」という国は、隣接した国々のそれぞれ異なる言語を使う民族が集まってできた国で、北部と中部はドイツ語圏、西部はフランス語圏、南部はイタリア語圏、その他にロマンシュ語を話す人が1%ほどいます。
したがって、そのうちどれか一つを「公用語」に使うと角が立ってしまうことから、国名としてはどの「公用語」にも属さない「ラテン語」が使われるようになったのです。
えてして、多民族からなる国家では民族間紛争が絶えないところも多いのですが、「スイス」という国は他国の文化を包み込む国でありながら、政治的にはさほど争いがエスカレートする場面が見られないのが特徴です。
また、「スイス」は、世界中でも珍しい国民選挙による立法の制定システム(国民投票で重要法案や大統領などを決める)であるにもかかわらず、揉め事が少ないといいます。
よほどバランス感覚に優れ、かつそれぞれの民族を大切にし思いやる国民性なのでしょう。