いわゆる「学校英語」とは?

中学1年から英語の授業が始まります。

最近では「外国語活動」という名目で、小学校高学年から英語の授業らしきものが始まったようですが、これは除いて話を進めます。

これまでは通常、中学で3年間、高校で3年間、合計6年間英語を学習することになっていましたが、中学・高校で学ぶ英語の授業内容は「実用英語」との対比で「学校英語」あるいは「受験英語」と呼ばれています。

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「学校英語」の功罪?

以前からこの「学校英語」の功罪については、多くの議論があることはご承知のことと思います。

擁護論から否定論まで実に幅広い議論がなされて来ましたが、この議論は結局「学校英語」を6年間学習しても、読み・書き主体の授業では聴くことや話すことが出来るようには全然ならないという実態に即したものだと思います。

確かに私の経験では、学校の授業で学習するのは「英文法」、「語彙」、「英文解釈」、「英作文」くらいであり、「聴く」、「話す」という要素は全くありませんでした。

当時は英語の先生自体英語を聴けて話せる人なんていなかったし、教科書や参考書以外に音声教材もなく、音読をする場合も先生も生徒もカタカナ英語の発音で良しとされていた時代でした。

また、高校受験・大学受験を優先すれば、当然ながら「学校英語」に習熟することが要求されていました。

その結果、私も高校を卒業しても英語を聴き・話すことは全く出来ませんでした。

現在では授業に「聴く」、「話す」の要素を取り入れたり、ネイティブ・スピーカーと話す機会を設けたりと少しは改善されたようですが、抜本的な解決にはなっていないようです。

これからもこの状態が続くでしょう。

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どうして改善されないのか?

私の考えでは、改善されない理由は以下の通りです。

一つ目の理由

改善されないされない一つ目の理由は、第2回の「そもそも「英語力」とは?」の記事で述べた4つの英語力、即ち、「リーディング力」、「ライティング力」、「リスニング力」、「スピーキング力」を身につけるには、これらの能力を持つ教師が絶対に必要となります。

現状ではこれら4つの英語力を持っている教師が極めて少ないこと、またそのような教師の育成がきわめて難しいことが改善されない一つ目の理由です。

従って、「学校英語」からさらに英語力を発展させようとするならば、生徒自身の自主努力が必要となってくることになります。

学校英語では、特に「リスニング力」、「スピーキング力」の養成に欠けています。 昔と違い現在は音声教材があふれるほどありますので、これらを活用した自主努力が有効でしょう。

二つ目の理由

改善されない二つ目の理由は、英語の授業時間の絶対的な不足です。

文部科学省の新学習指導要綱によれば、年間の英語授業時間は次のようになっています。

中学: 各学年とも140時間/年 ⇒ 420時間/3年

ここでいう1授業時間は50分なので、実質は420時間x50分/60分= 350時間/3年

高校: 21単位/3年

高校における授業時間の計算はややこしいですが、1単位時間は50分、35単位時間を1単位として計算します。
21単位x35単位時間x50分/60分= 612.5時間/3年

中学と高校での授業時間合計は962.5時間、約1,000時間となります。

もっとも、家庭での学習、試験勉強等もしているので実際の英語学習時間はこれよりも何割かは増えるとは思いますが。

以上の数値は現在の中学・高校での授業時間ですから、すでに大人になっている方々の中学・高校時代の授業時間数は現在の1,000時間よりももっと少なくて、700~800時間程度であったのではと思います。

一方、日本人の大人が日常生活に支障のない程度の英語力を習得するには、最低でも3,000時間程度の学習が必要だといわれています。

日常生活に支障のない程度で最低でもこの時間ですから、仕事上で支障のないレベルになるためには、当然ながらもっとたくさんの学習時間が必要となることはいうまでもありません。

このように考えると、現状の英語の授業時間では少なすぎます。
言葉を変えて言えば、現状の時間数では従来の授業内容で精一杯でしょう。

従い、こちらの面からも生徒自身の自主的な学習が必要となります。

では、第3回はこの辺で。

次回をお楽しみにして頂ければ幸いです。

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「第4回 学習時間の具体的イメージ」は、こちらから