大学時代の英語にまつわるお話
子供の頃からエンジニアになるのが希望だったこともあり、何とかある大学の工学部に潜り込めました。
工学部における外国語科目は、第一外国語が英語、第二外国語がドイツ語と指定されており、いずれも必修科目でした。
英語に関する授業は、必修科目とはいうものの、教養科目の一つにすぎず、英文の随筆等を読むというきわめて単調なものでしたし、授業時間数も多くはありませんでした。
たまに英語の技術文献が課題として出されることがありましたが、授業関連以外にこれといって英語の学習をした記憶はありません。
また、英会話に関する授業もありませんでした。
一方、第二外国語のドイツ語にはほとほと弱りました。
英語と違って、文法も、単語も一から勉強しなければならなかったからです。
何とかドイツ語の単位を取りましたが、その後すぐ忘れてしまいました。
まさに単位取得のために試験勉強しただけなので、全く身に付いていなかったのは当然でしょうし、もともと語学のセンスがなかったのでしょう。
横道にそれたようなので、また英語の話に戻しましょう。
経済学部の学生で商社に入ることを希望している連中は、授業以外にラジオの英会話講座を聴いたりすることも含め英語・英会話を結構まじめに勉強していました。
当然といえば当然ですが、商社に入ればすぐに英語・英会話が必要になると認識していたのでしょう。
一方、私の方はなぜかしらエンジニアに英語は不要とばかり、専門の工学系科目さえ勉強すればよいと思っていました。
今から思えば全くおかしな考えですが。
もっとも、専門科目もそんなに勉強したわけではないのですが。
英語は度胸!
さて、大学時代の英語にまつわる話としては、英語は度胸だなと思ったことが一度ありました。
ある日行きつけのスナックのカウンターの左側の方で友達とお酒を飲んでいました。
カウンターの反対の右側の方には、いちげんさんのような学生が3,4人おり、カウンターの中にはママさんとかわいいお手伝いの女の子がいました。
聞くともなく彼らの話が耳に入ってきましたが、何でも彼らはESSという英会話のサークルに入っており、あたかも英語がぺらぺらであるように、女の子に話していました。
その内にドアが開き、見知らぬ外人さんが二人入ってきて、カウンターの中央に座りました。
その地方都市では外人さんと会うことは滅多になく、後から聞いたところではその日港に入った貨物船の船員でした。
その内に、外人さんがあちらの学生に英語でしきりに話しかけ出しました。
ところが、さっきまで英語がぺらぺらだと豪語していた連中が一斉に口をつぐんでそっぽを向いています。
カウンターの中の女の子は、その連中に英語がぺらぺらなのでしょう、相手をしてあげてよと詰問します。
それにもかかわらず、その連中はそっぽを向いたまま何も答えません。
しょせん女の子の気を引くために、英語がぺらぺらと言っていたのだろうなと、こちらは冷たい目で連中をみていました。
すると、矛先がこちらに向いてきました。
なんと外人さんが我々の方に話しかけてきたのです。
無視するわけにもいかず、酔っていたことも助けとなって、ブロークンのカタカナ英語で相手をしました。
我々が意気投合してしゃべり、飲んでいるうちに、くだんのESSサークルの連中は、こそこそと逃げるかのごとく店を出て行きました。
この日はもう一軒外人さんと飲みに行き、楽しい夜を過ごすことができました。
実は、私はこの時まで外国人と話したことは一度もなかったのです。
そして、この時に思ったのです。
英語は度胸だなと。
では、第2回はこの辺で。
次回をお楽しみにして頂ければ幸いです。
「第3回 入社当初の英語とのなれそめ」は、こちらから