「玉虫色」とは?
「玉虫」という昆虫は、光が差す角度によって色が違って見えます。
緑っぽく見えることもあれば、紫色に見えることもあります。
このことから、はっきりしない曖昧なことを「玉虫色」と呼ぶようになりました。
この「玉虫色」は、日本人の得意技でもあります。
日本では、議論に長い時間をかけたわりには、はっきりとした結論が出ないことがしばしばあります。
明確に結論を出すと、どちらかに利が生まれ、どちらかに不利が生まれることもあります。
それをごまかすために「玉虫色の結論」を出します。
曖昧なままでも、何とかなってしまうのがいかにも日本らしいです。
ところが、この「玉虫色の結論」は、とんでもないところでも使われていました。
なんと日本には正式な「首都」もないし、「国家元首」もいません。
日本の「首都」は本当に「東京」なの?
「首都」は事実上「東京」とされていますが、驚くことに「首都」をどこに置くかを定めた法律はないのです。
明確に「首都」が指定されたのは、794年の桓武天皇による平安京遷都が最後という解釈もあります。
平安京に都があった平安時代のあとは、鎌倉幕府、足利幕府、江戸幕府と政治の中心は移り変わったものの、「首都」を定めずに現代まできていると考えられています。
「国家元首」はだれ?
「国家元首」は、アメリカなら「大統領」、スペインでは「国王」です。
しかし、日本では、天皇は「象徴」、総理大臣は「行政府の首長」と定義されています。
どちらが「国家元首」かを法律で定めてはいないのです。
「玉虫色」なのは、「首都」や「国家元首」だけではありません。
「国技」、「国花」も「玉虫色」?
「国技」は相撲と思われていますが、じつはそれを定めた法律もありません。
「国花」は、菊や桜と思われていますが、これも法律上定められていません。
日の丸である「国旗」、君が代である「国歌」に関しては、1999年に施行した国旗国歌法でやっと定められたほどです。