富士山の「初冠雪」とは?
夏の終わり頃に富士山の山頂を麓から眺めて、山頂がうっすらと雪に覆われた状態になると「初冠雪」です。
ただ、ここでちょっと不思議に思わないでしょうか?
「初」とつくからには、その年の「初めての冠雪」のはずです。
ところが、富士山は一年を通じて雪に覆われている期間が長いです。
その年の初めの時期、つまり1月頃は当然、山頂は雪に覆われています。
そのまま山頂の雪は通常、初夏まで残り、下界では猛暑日が続くような夏でも天候によっては雪が降ります。
標高3776メートルの地点は、7月や8月でも気温が氷点下になることがあるのです。
「初冠雪」ってどのように決めるの?
要するに、ほぼ一年中、雪があるような富士山で、どこを区切りにして、その年の「初冠雪」と呼んでいるのでしょうか?
これには決まりがあります。
気象庁によると、その年の山頂の平均気温が最も高かった日を基準にして、それ以降の日で山頂に雪が降り、麓から見て雪に覆われた状態になった日が「初冠雪」となるのです。
つまり、山頂における「一日の平均気温が最高となった日」がいつか決まらないことには、「初冠雪」も決まらないのです。
ちなみに、これまでで最も早い「初冠雪」は、2008年8月9日で、それ以前の1914年8月12日を94年ぶりに3日間更新しました。
最も遅い「初冠雪」は1956年10月26日です。
「初雪」、「終雪」とは?
なお、富士山ではこの「山頂の一日の平均気温が最も高い日」は、季節の変わり目を示す重要な日といえます。
この日以降に最初に降った雪を富士山では「初雪」と呼び、反対に、この日以前で最後に降った雪が「終雪」と呼ばれています。
例えば、8月半ばに雪が降り、「初雪だ」と思っても、8月下旬にもっと暑い日があれば、「終雪」になってしまうかもしれません。
富士山では、「山頂の一日の平均気温が最も高い日」がいつかが決まらないことには、「初冠雪」も「初雪」も「終雪」も確定しないのです。