「年賀状」の習慣の由来
新年のあいさつとして書く「年賀状」ですが、江戸時代には武家社会や裕福な人たちの間で、文書による年始のあいさつが行われていました。
飛脚や使用人を使って文書をやり取りしていたのです。
郵便制度が確立した1871年(明治4年)には、「年賀状」はまだ書状だったので数は少なかったのですが、1873年(明治6年)に安価な郵便はがきが発行されると、「年賀状」を送る習慣が一気に広まりました。
1905年(明治38年)頃には、年末の一定期間に郵便局に持ち込むと、元日以降に配達されるという「年賀状」の特別取り扱いが全国の郵便局で実施されるようになりました。
官製年賀はがきの誕生
今では、官製の「年賀はがき」といえば当たり前になっている「お年玉くじ付き年賀はがき」ですが、この制度が始まったのは、1949年(昭和24年)です。
それ以前は、通常の官製はがきを「年賀状」として使っていただけで、官製の「年賀専用はがき」というものが誕生したのが、この「お年玉くじ付き年賀はがき」からなのです。
発売と同時に、この初めての「年賀専用はがき」は大きな話題を呼ぶ大ヒットとなり、この年、「年賀状」の取扱量は大きく伸びました。
これが起爆剤となり、「年賀郵便」の取り扱いは急伸し、1955年(昭和30年)には戦前のピーク時のレベルを突破。その後も、同じペースで増え続けていきました。
その後の年賀郵便の推移
平成に入っても増加を続けた「年賀郵便」は、1997年(平成9年)の約37億通をピークに、2016年度は22億通と4割近い減退を示しています。
これは、景気の長期低迷が続いたことや、インターネットの普及により、電子メールやLINEなどのSNSが盛んになったことなど、さまざまな理由が考えられます。
しかし、「年賀状」の習慣は、長い日本の伝統を背景とした日本の文化の一つといっても良いものです。
今後も「年賀状」の文化を守って行きたいものですね。