「胴上げ」、「万歳」の起源についてご存知ですか?
日本ではおめでたいときや喜ばしいときなどに、「胴上げ」や「万歳」をしますが、どのような起源でこのようになったのかについて紹介します。
「胴上げ」
もともと「胴上げ」は神事の一つであったとされています。
地面から体が浮かび上がった状態を「非日常で神聖」、手で支えられた時を「日常」として表現し、この二つの世界を行き来するのを「胴上げ」という形で表したものです。
江戸時代、神事である奉納相撲において、当時の最高位であった大関を「胴上げ」する習慣がありましたが、それがいつのまにか祝福の儀式となり、広く浸透していったとされています。
スポーツの世界で「胴上げ」することが多いのは、この奉納相撲の影響が大きかったようです。
では、相撲のない他の国は「胴上げ」はしないのだろうかという疑問が残りますね。
他の国ではまずやりませんが、最近ではサッカーや野球の試合で行われた例がいくつかあるようです。
「万歳(ばんざい)」
「万歳」は元々は中国において使用される言葉で、「千秋万歳」の後半を取ったものです。
「万歳」は一万年を意味し皇帝の寿命を示す言葉であり、皇帝の長寿を祈るもので、本来皇帝に対して以外では使われませんでした。
中国から日本にもこの言葉が伝えられてはいましたが、公式に使用された歴史は新しいものです。
明治22年2月11日の大日本帝国憲法発布の日に青山練兵場での臨時観兵式に向かう明治天皇の馬車に向かって「万歳三唱」したのが最初だといわれています。
それまで日本には天皇を歓呼する言葉がなく、天皇の出御にあたってただ最敬礼するのみでしたが、このときに際して最敬礼では物足りないので歓呼の声を挙げようという話から、東京帝国大学の和田垣謙三教授の提案で「万歳」が連呼されました。
「天皇陛下万歳」という言葉を聞かれたことがあると思いますが、天皇の永遠の健康、長寿を臣下が祈るものです。
この言葉は、太平洋戦争中は兵士などにより多用された暗い歴史がありますが、近年でも即位の礼や在位記念式典において公式に使われており、また皇居における一般参賀などの場面において、「万歳三唱」する市民も多いです。
また、天皇に対する言葉というだけではなく、めでたい時の歓呼の声として一般にも「万歳」が唱えられるようになりました。
「万歳」そのものは、おめでたいときなどに「万歳三唱」などとして一般的にも広く使われているのはご承知の通りです。
ただし、衆議院や参議院の解散のときに議員が「万歳三唱」するのは解せませんね。
ちなみに、「バンザイ」は俗語として違った意味にも使われています。
すなわち、「万歳」の際には両手を上げることから、俗に「お手上げ」という意味で降参のことを示す表現として用いられることがあり、より具体的には倒産や破産を意味する隠語として用いられれています。
(「バンザイする」、「バンザイだ」とか)
「万歳」に相当する外国語
日本以外の国でも「万歳」に相当する言葉があります。
- 中国語では、「ワンスイ、ワンソェー」
- 韓国・北朝鮮語では「マンセー、マンセ」
- ラテン語圏ではイタリア語「ヴィヴァ」、スペイン語「ビバ」、フランス語「ヴィーヴ」があり、次に讃える人名や組織名、国名などを続ける
(例えば、ヴィヴァ・イタリア、ヴィーヴ・ラ・フランスなど) - ドイツ語では「ハイル」
(例えば、ハイル・ヒトラー、ジーク・ハイル(勝利万歳)など) - 英語では「フゥレェィ→日本語化した「フレー」」
- ロシア語の「ウラー」