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「ピースサイン」のポーズとは?
写真を撮るときに多くの人がしているのが、「ピースサイン」のポーズです。
指の形が「V」であることから、欧米では長い間「Vサイン」と呼ばれてきました。
この「Vサイン」がなぜ「ピースサイン」と呼ばれることになったのでしょうか?
また、なぜ写真を撮る際に「ピースサイン」をするようになったのでしょうか?
これらの疑問について、以下にみていきましょう。
そもそも「Vサイン」とは?
「Vサイン」は、14~15世紀の百年戦争においてイングランド軍の弓兵が、敵であるフランス軍を挑発するサインとして使用したのがはじまりであるといわれています。
イングランドの弓兵隊は、フランス軍よりも強力な弓を使用し多大な戦果を上げたため、イングランド兵が捕虜にされれば二度と弓を引けないよう、二つの指を切り落とされることがありました。
その指をあえて見せつけて、「切り落とせるものなら切り落としてみろ」という意味合いがそのサインにはあったとされています。
その後は、指の形が「V」であることから、「Victory(勝利)」を意味するサインとして「Vサイン」と呼ばれ、長い間用いられてきました。
なぜ「Vサイン」を「ピースサイン」と呼ぶようになったのか?
この「Vサイン」を「ピース(平和)サイン」の意味で使ったのは、1957年に設立されたイギリスの反核運動団体「CND (Campaign for Nuclear Disarmament:核兵器廃絶運動)」といわれています。
2本の指のうち1本が「Nuclear(核)」、もう1本が「Disarmament(兵器廃絶)」を表すというものです。
さらに、1960年代には、ベトナム戦争に対する反戦運動がアメリカを中心として高まり、盛んに反戦デモが行われるようになりました。
反戦デモへの参加者が「平和への願い」を表す意思表示の手段として、「平和を願う印」としての「ピースマーク」とともに、「ピースサイン」が広く用いられるようになりました。
ちなみに、「ピースマーク」は次のようなマークです。
これらは、当時のニュース映像などに見ることができます。
写真と「ピースサイン」の関係は?
この「ピースサイン」のポーズが写真とかかわるようになったのは、1970年代の日本でのことです。
日本でのカメラ普及期に、当時の男性歌手・タレントの「井上 順」が、カメラのテレビCMの中で、アドリブで「ピースサイン」をしたのが始まりといわれています。
その後もいろいろな場面で「ピースサイン」を連発したことから、このポーズが広まりました。
写真を撮るときの定番のポーズは、カメラとアドリブという偶然から始まったといえます。
とはいえ、流行はすぐに移りかわるものですが、ずっと以前に流行った「ピースサイン」が、現代の若者にもいまだに多く使われているのは不思議な気がしますね。
「ピースサイン」で注意すべきこと?
外国での使用に注意?
国によっては、この「ピースサイン」が良くない意味をもつことがあります。
また、写真を撮る際の「ピースサイン」は、外国では一般的ではないので奇妙に思われることがあります。
たしかに、日本人の団体がカメラに向かって、一斉に「ピースサイン」のポーズをしたら、奇妙に思われても当然かもしれません。
したがって、外国での「ピースサイン」の使用は控えた方が良いでしょう。
尚、写真を撮る際の「ピースサイン」は、手のひらをカメラに向けますが、手のひらを自分の方に向けるサインは相手を侮辱する意味がありますので、ご注意ください。
新たに出てきた問題?
最近のデジカメやスマートフォンのカメラは非常に解像度が高いため、「ピースサイン」についての新たな問題が指摘されています。
最近では、スマートフォンやパソコンにも指紋認証機能が搭載されているほか、銀行での送金などいろいろな場面へ指紋認証が拡大しています。
このことを背景に、ブログやSNSにアップした写真の「ピースサイン」から指紋の情報が盗まれ、悪用されるリスクがあることが指摘されています。
最近のデジカメやスマートフォンでは、3メートル上離れた場所から撮影しても、充分な明るさがあり、ピントが合っていれば、指紋情報を抜き出すことができるそうです。
さらに、SNSによっては、顔もわかり、居住地域などの個人情報まで知られてしまう可能性があるので、ことさら注意が必要です。
したがって、これからは次のような注意が必要になってくると思われます。
- 写真を撮る際には、「ピースサイン」を一切しない。
- ブログやSNSにアップする予定のある写真を撮る際には、「ピースサイン」をしない。
- 「ピースサイン」が写っている写真を、ブログやSNSにアップしない。