一つの間違いや勘違いから名称が変わる?
多くの人が嫌がる昆虫「ゴキブリ」、もともとは「ゴキカブリ」と呼ばれていました。
昔は、食器のことを「御器(ごき)」と呼び、それにまとわりつく虫だったので、「御器かぶり」と呼ばれていたのです。
ところが、明治時代に刊行された生物学用語集「生物學語彙」に、誤植のために「ゴキブリ」と記載されてしまいました。
それが定着してしまい、今では誰もが「ゴキブリ」と呼ぶようになったのです。
このようにある一つの間違いや勘違いから、名称が変わってしまうことは意外にあります。
「山手線」の読み方は「やまてせん」? それとも「やまのてせん」?
ある一つの間違いや勘違いから、名称が変わってしまうことは意外にあり、そのもう一つの例が「山手線」の呼び名です。
この言葉を「やまのてせん」と呼んだり、「やまてせん」と呼んだりりします。
しかし、本来正しいのは「やまのてせん」なのです。
「やまのて」とは、赤坂や四谷、麻布あたりの一帯を指す言葉です。
この地域は、かつて江戸城を西方向に出たところで、武士が住む地域でした。
この地域で使われる言葉が、いわゆる「山の手言葉」です。
今では「山の手言葉」という単語もあまり聞かれないようになりましたが。
電車の「山手線」は、この地域をぐるりと囲むように線路が走っている環状線です。
「やまのて」という地名から名付けられた路線名であるだけに、戦前は「やまのてせん」と呼ばれていました。
しかし、戦後、GHQ(連合国軍総司令部)の命令によってアルファベット表記が進められたのですが、当時の国鉄職員が「YAMATE=Loop=Line」と記載してしまったのです。
そのため、「やまてせん」という読み方が定着したのです。
なぜそのような誤記が生まれたかといえば、、国鉄内では「山手線(やまのて線)」を「ヤマテ」という通称で呼んでいたからでした。
仲間内で使っていた言葉をそのまま記載して、それが定着してしまったのです。
しかし、1970年以降、国鉄は本来の名称である「やまのてせん」という読み方を復活させました。
その結果、再び「やまのてせん」が正式な名称として扱われるようになったのです。