「郵便ポスト」の色は赤が常識?
メールやチャット、SNSの普及で、手紙を書く機会がめっきり減った昨今です。
それでも、正式なお礼状や年賀状、旅先からの絵はがきなどは、直筆のものを送るという人も多いでしょう。
手紙を送るときにお世話になる「郵便ポスト」。
「郵便ポスト」といえば「赤」が常識です。
ところが、日本で郵便制度が始まった明治初期、「ポスト」の色は「赤」ではなかったのです。
「郵便ポスト」、昔は黒かったって本当?
郵便制度が始まった1871年に、日本で最初の「ポスト」も誕生しました。
脚付きの台に四角い箱を乗せた「木製ポスト」で、配達先別の郵便料金と届くまでの時間を知らせる「各地時間賃銭表」が張り付けられていたといいます。
東京に12ヵ所、京都に5ヵ所、大阪に8ヵ所、そしてこれら3都市を結ぶ東海道の宿場62ヵ所に設置されたようです。
翌年の1872年には、郵便局の数も増え、それにあわせてたくさんの「ポスト」が必要となりました。
そこで、杉板を四角い柱のように組み合わせ、角に鉄板を張って黒いペンキを塗った「黒塗柱箱」(黒ポスト)が作られたのです。
つまり、当初、「ポスト」は「黒」だったのです。
しかも、「黒ポスト」は、その後、約30年間も使われ続けました。
それがなぜ、現在の「赤」に変わったのでしょうか?
その理由は単純で、黒いと夜に見えにくいからです。
当時、夜は今よりずっと暗かったのです。
1901年に火事に強い鉄製の丸型ポストに切り替えられたのと同時に、イギリスにならって暗がりでも目立つ「赤色ポスト」を試験的に設置しました。
その評判が良かったことから、1908年に正式に「ポスト」の色が「赤」になりました。
「青い郵便ポスト」もある?
ちなみに、「青いポスト」が存在するのをご存知でしょうか?
これは速達専用で、速達の前身である航空郵便専用の「ポスト」が空をイメージした青色だったことから「青ポスト」となりました。
高度成長期、都心部やビジネス街を中心に設置されましたが、年々減少しています。
急速に姿を消しつつあるだけに、見つけたらラッキーな気分になれそうです。
また、ポストの色は、各国共通ではありません。
アメリカとロシアは青、中国は緑、フランスやドイツなどヨーロッパは黄色が主流です。