「SF(Science Fiction)小説」

日本語で「空想科学小説」とも呼ばれる「SF(Science Fiction)小説」の元祖といえば、「海底二万哩」「月世界旅行」などを書いたジュール・ヴェルヌ(1882年生まれ)や、「タイムマシン」「宇宙戦争」などを書いたH.G.ウェルズ(1866年生まれ)でしょう。

月や海底、宇宙、そして時間を超えた未来を舞台にさまざまなストーリーを作り出しました。

このジャンルの小説や物語は、日本人の繊細な文学的感性とはそぐわないのではと思う人もいるかもしれません。

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世界最古の「長編SF小説」は日本で生まれたって本当?

ところが、日本でもはるか昔に、壮大な「SF物語」が創られています。

「竹取物語」は「SF小説」?

それは、「竹取物語」です。

日本人なら誰もが知っている「かぐや姫」の話で、成立年も作者も不明なところがミステリアスです。

平安時代初期から10世紀には作られていたとされています。

「竹取物語」が、「SF小説」として独特なのは、リアリズムにあふれているところでしょう。

「かぐや姫」は5人の貴族から求婚を受けますがこれを断り、天皇からの呼びかけにも応じず、8月の満月の夜に「月の都」に帰ってしまいます。

かぐや姫が月へ帰っていくイラスト画像

この5人の貴族は、672年の「壬申の乱」に関与した貴族たちがモデルとされ、3人はほぼ実名で登場しています。

物語のラストシーンは、「かぐや姫」が残した不死の薬を富士山で燃やす場面です。

不死の薬を燃やした煙は永遠に立ち上るのですが、当時の富士山は活火山だったのです。

しかも、主人公である「かぐや姫」という名を持つ女性を辿ってみると、日本書紀、古事記に登場する日本武尊(やまとたける)の祖父である垂仁天皇の后が「迦具夜比売(かぐやひめ)」なのです。

現在では、おとぎ話とされていますが、物語ができた当時の人たちの受け取り方は、リアリズムと空想的な世界が見事に織り交ざった世界であったはずです。

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「浦島太郎」も「SF小説」?

もう一つ、「竹取物語」よりもっと古い「SF小説」が日本にはあります。

タイムスリップ系物語の元祖ともいえる「浦島太郎」です。

浦島太郎の物語のイラスト画像

この話は、日本書紀や丹後国風土記に記載されています。


このように、日本人は古代から素晴らしい「SF小説」を創作してきました。

その感性が脈々と受け継がれ、手塚治虫や松本零士など世界的な漫画家を生み出したのかもしれません。

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