入社当初の日常と新入社員教育方針
今回は、新入社員として入社当初の日常の仕事について紹介しましょう。
日常の仕事は、上司の指導員が担当しているプラントの基本計画の補助です。
ちなみに、基本計画設計とは概念設計のようなもので、基本計画に基づき、さらに詳細化した基本設計が行われます。
しかし、上司の指導員の補助といっても、言われるままに手伝ったというのが実態です。
指導員からは、次は何々をやってほしい、そのためには英文設計マニュアルのどこそこを読んで内容を理解すること、というところから始まりました。
次に、マニュアルに書かれている内容がどのように実際の基本計画に反映されるかを身をもって示し、理解させます。
そして、実際に計算させるというものでした。
そのあとは、当然ながら上司によるチェックがあります。
これが新入社員に対する教育方針だったようです。
一方、上司の指導員から読んでおくようにと渡される書類は、海外の顧客との間の技術仕様書、やり取りの書類(コレスポンデンスの略で通常コレポンと呼ばれていました)などの書類でした。
当然ながらすべて英語でしたが、すべて読みこなさなければなりませんでした。
もっとも社内向けの書類は日本語でしたが。
また、時間があるときにはこれを読んで勉強するようにと渡されたのは、技術導入元の米国の会社が発行している教科書的な本でした。
厚さが10センチくらいありました。当然英語です。
「えぇー! これを読むの?」という感じでした。
自慢ではないですが、それまで教科書や参考書以外に英語の本を読んだことは一切ありませんでしたから、なおさらでした。
何でもこの本は、米国の多くの大学の工学部でも、教科書として使用されているという代物でした。
日本の大学の工学部でのこの種の教科書は、結構薄かった(多分1/5程度)だったので、やはり米国の大学での学習量はすごいのだろうなと想像したしだいです。
このような環境下に投げ出されたというより、何も知らず自ら飛び込んだ私は、どのようにして実務に役立つ英語力を身に付ければよいのだろうと日々悩んだものです。
指導員に相談しても、「そのうち身につくよ!」くらいしか言ってくれず、自分で考え行動するしかありませんでした。
これもまた、新入社員の教育方針だったようです。
一旦は放り出して、そして自分で考え、何らかの行動を始めたらアドバイスするということのようでした。
しだいに慣れてきた??
新入社員として入社以来、英語が得意でもない自分が、少なくとも勤務時間中は英語とともに過ごすという生活が始まりました。
しかし、驚いたことに、このような日常にも次第に慣れてきたのです。
というのは、まずは英語の書類やマニュアルを読んで理解することだけが必要だったからです。
つまり、まずは「英文を読む」という一点さえクリアできれば何とかなる状況だったのです。
この「英文を読む」ということに関しては、世間でよく役に立たないといわれる「学校英語」(中学・高校で学習した英語)思った以上に役に立ちました。
とはいっても、「学校英語」が役に立ったというのは、あくまでも「学校英語」で英文の読み方の基礎ができていたということです。
「英文を読む」ことにしだいに慣れてきたというのも、「学校英語」という基礎を元にして、毎日相当量の英文を読んできたからいえるのであって、「学校英語」が「英文を読む」ことに十分と言っているわけではありません。
また、技術的な内容が主体の書類だったので、専門用語を覚えるのに苦労をしましたが、その内に何とか読んで理解することができるようになりました。
このようにして、「英文を読む」ということに関しては、「何とかなるのかな?」と、初めて明るい展望を抱くことができました。
では、第6回目はこの辺で。
次回をお楽しみにして頂ければ幸いです。