入社当時の海外との通信事情
何十年か前の入社当時、海外の顧客とどのようにコミュニケーションを取っていたかについて述べましょう。
今では、海外との日常のコミュニケーションには電子メールを使っていますね。
また、図書の送付にはワード・ファイル、エクセル・ファイル、パワーポイント・ファイル、pdfファイルなどをメールに添付したり、ファイルサイズが大きい場合には、FTPサーバなどを介しての受け渡しをしています。
当時はどうしていたのでしょうか?
パソコンはもちろん、ファックスもない時代でした。
通常のやり取りは航空郵便(エア・メール)での送付でしたし、急ぐ場合には国際電話あるいは「テレックス」なるものでした。
国際電話代は極めて高額でしたので、もっぱら「テレックス」が日常的には使われていました。
「テレックス」といっても古い年代の人にしかわからないと思います。
自分で操作できる国際電報のようなものです。
タイプライターのようなテレタイプ端末で紙テープに穴を開け、その紙テープを機械に通しデータを国際回線で伝送します。
相手側の機械は送られてきたデータを紙に印字します。
「テレックス」では漢字を表示できませんでしたので、外国人宛には英語で、海外駐在の日本人宛にはローマ字で打っていました。
中学時代に習ったローマ字が、ひょんなところで役にたったわけです。
当時は、国際回線の費用が高額だったので、テレックスの通信文には多くの短縮略号が多用され、それらを覚えるのが大変だったのを今でも覚えています。
余談ですが、当時コンピュータといえば、もちろんパソコンではありませんでした。
大型コンピュータしかなく、大型コンピュータに命令するのにも紙テープが使われていました。
その後、紙テープは紙のカードに代わり、さらにその後はパソコンの登場により、パソコン上から大型コンピュータに命令することが出来るようになりました。
また、パソコン自体もどんどん高機能化され、かなり高度な計算がパソコン自身でできるようになってきました。
通信手段と情報処理手段の進歩
通信手段も情報処理手段も、数十年の間に驚くほど進歩しましたね。
この進歩が個人にとって良いかどうかというと、昔よりも個人の負担が大幅に増えたように思えます。
今では、出張時には携帯電話やスマートホンを持たされるのは当然で、さらにはノート・パソコンを持たされ、世界のどこにいても1日24時間いつでも、携帯電話・スマートホンやメールでの通信ができる世の中になってしまいました。
出張中でなくても、自宅のパソコンでも、携帯電話・スマートホンでも会社のメールが読めるようになってきており、まるで1日24時間働けと言わんばかりのシステムが構築されています。
その代わり、セキュリティ対策は非常に厳しくなっており、いざメールを使える状態になるまでには多くのID、パスワードを入力しなければならないことはご承知の通りです。
最近では、さらなるセキュリティの強化として、会社が貸与するパソコンや携帯電話・スマートホン以外では、メールを含む会社の仕事を一切してはならないという企業も大幅に増えています。
また、仕事の密度が当時より上がったような気がします。
昔は仕事のペースがもっとゆったりとおおらかで、じっくりと考えていたように思います。
仕事に関わるシステム自体はどんどん更新され進歩しますが、システムを扱う人間の力は簡単にバージョンアップできるわけではないので、そのギャップがどんどん大きくなって行く気がします。
技術の進歩により仕事上色々と便利になった反面、かえって個人にとっては不便と言うか、余裕がなくなったと言えそうです。
これも時代の流れであり、進歩なので、やむをえないのでしょう。
では、第7回目はこの辺で。
次回をお楽しみにして頂ければ幸いです。