想像上の生き物「妖怪」と日本人
日本人は妖怪が好きというか、子供の頃から慣れ親しんでいるといえます。
皆さんはどんな妖怪をご存知でしょうか?
妖怪といっても、怖いものから、愛嬌のあるものなど、色々なものがあります。
アニメの「ゲゲゲの鬼太郎」にも多くの妖怪が出てきましたね。
中には「神の使い」といて崇められているものもあります。
妖怪の類、つまり想像上の生き物は、古くから日本人の暮らしに入り込んでいました。
「狛犬」と「獅子」の違いは?
日本には八百万の神がいるとされ、色々なものが「神の使い」とされています。
その代表格が「狛犬(こまいぬ)」と「獅子(しし)」です。
二体が一対となって神社などに祀られているのを見たことがあるでしょう。
どちらが「狛犬」でどちらが「獅子」か、パッと見て区別がつくでしょうか?
見分け方は簡単です。
これらは二体で「阿吽(あうん)」を示しています。
口を「あ」のかたちに開けているのが「獅子」で、口を「うん(ん)」と閉じているのが「狛犬」なのです。
また、「狛犬」には角がありますので、それでもわかります。
「あ」はサンスクリット語の最初の文字で、「うん(ん)」は最後の文字です。
つまり、この二体でさまざまな物事の初めと終わりを示しているのです。
もちろん、「獅子」も「狛犬」もライオンや犬に似た想像上の動物です。
最近では、「獅子」も「狛犬」も関係なく、両方を同一視して「狛犬」と呼ぶのが一般的になってきたようですが、厳密にいえば違うのです。
「シーサー」ももともとは同じもの?
さて、同じような想像上の動物は沖縄にもいます。
それは「シーサー」です。
「獅子」や「狛犬」が神社仏閣に置かれているのに対し、「シーサー」は一般の庶民の家にも置かれています。
建物の屋根や紋などに設置され、魔除けとして用いられています。
「狛犬」と「獅子」と「シーサー」、もともとは同じもの?
「獅子」、「狛犬」、「シーサー」と呼び名は異なるものの、古代のエジプトやイランなどのオリエント地方からインドの広い地域で、「守護神」として「ライオンの像」を設置していたのが源流といわれています。
百獣の王と呼ばれる「ライオン」は、世界各国で崇められていました。
その信仰がシルクロードを伝わって、中国、朝鮮半島へと渡り、日本では「獅子」、「狛犬」、「シーサー」として定着したといわれています。
中国、朝鮮、日本には「ライオン」はいなかったので、想像が膨らんで、色々な姿に分かれていったのでしょう。
かたちや呼び名は異なりますが、これらは大本をただせば同じものと考えられています。