日本の「山岳仏教」とは?
インドで生まれた「仏教」は各国に伝わり、それぞれの国で信仰や文化の影響を受けながら取り入れられていきました。
日本の「山岳仏教」もその一つです。
日本にもともとあった「山岳信仰」と「仏教」が融合した姿と考えられています。
「山岳仏教」の修行僧は、修験者や山伏と呼ばれ、物語の世界では超能力を発揮する修行僧として描かれることも多いです。
また、食事を絶つほどの厳しい修行の果てに、自らの意思でミイラと化して即身仏となる僧侶もいました。
歴史に残る最後の即身仏は、1903年の仏海上人です。
100年ちょっと前の明治時代後期に、即身仏の修行を実践していたとは驚きです。
「仏教」が、「山岳信仰」の影響を受けたのは寺の名前を見てもわかります。
寺なのに「○○山」や「○○院」で呼ぶのはなぜ?
平安時代に最澄が築いたのは「比叡山延暦寺」、空海が作ったのは「高野山金剛峰寺」です。
これらは山の中で修行するための寺を作ったことに由来するとされています。
もともと、中国では寺の所在地を示すのに、その寺のある山の名前を使っていました。
そのため、山の中に建てた寺は「○○山」と呼ばれるようになりました。
平安時代より前の日本の寺は平地に建てられることが多かったので、「○○山」とはつけられなかったのです。
さて、寺の名前ではもう一つ、「○○院」があります。
法然が作った浄土宗の総本山は、「華頂山知恩教院大谷寺」といいます。
ここに出てくる「院」は、僧侶が住む施設の名前です。
「○○山」、「○○院」、「○○寺」の関係とは?
「山」、「院」、「寺」、これらの関係はどういうことなのでしょうか?
その答えは簡単です。
寺の名前には「山号」、「院号」、「寺号」の3種類があるということです。
「寺号」だけを持つケースもあれば、「山号+寺号」や「山号+院号+寺号」というものもあります。
いろいろなパターンがありますが、それは寺の由来や宗派などによります。
よく、「○○寺より○○院のほうが格式が高い」とか「○○山とついている方が由緒正しい」などといわれることもあるようですが、そうではないのです。