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アメリカの国家元首「プレジデント」を「大統領」というのはなぜ?
アメリカの国家元首「プレジデント」を「大統領」といいますが、これは幕末のペリー来訪の際に、日本で作られた言葉です。
「大統領」は元首であるものの、選挙で決まった一般の民衆の一人です。
「そもそも町人の出身であるならば、天皇や将軍とは身分が違う」、「それなら町人でもっとも偉くなった人として何と呼ぶか」という、江戸幕府が苦肉の策として作った言葉とされています。
当時、町人で偉いのは大工の「棟梁」で、その中でも最も偉いということで「大棟梁」となり、字を「大統領」に変えたという笑い話のような説もあります。
今でこそ、外来語は、耳に聞こえたとおりにカタカナで表記しますが、昔は外来語の意味を考えて漢字に置き換え、新たな名称として考案していたわけです。
じつは、日本とアメリカの間の「太平洋」と、ヨーロッパとアメリカの間の「大西洋」も同じように考案された言葉なのです。
どちらも大きな海ですが、一方は「太」、他方は「大」と異なる漢字が使われています。
「太平洋」は「太」で、「大西洋」は「大」なのはなぜ?
なぜなのでしょうか?
「太平洋」という言葉の由来は?
「太平洋」は、大航海時代に初めて世界一周を達成した冒険家「マゼラン」に由来します。
命がけの大航海をした「マゼラン」は、この海のおだやかさに驚き、「El Mare Pacificum(平和な海の意)」と表現しました。英語では「Pacific Ocean」です。
そこから、生まれた翻訳語が「太平の海」という意味としての「太平洋」だったのです。
「大西洋」という言葉の由来は?
「太平洋」に対し、「大西洋」はどうでしょうか?
「大西洋」を英語で書くと「Atlantic Ocean」です。
ギリシャ神話に出てくる神「アトラス」からきた「アトラスの海」という意味です。
「アトラス」といえば、天空を支える神ですが、ギリシャ神話を知らない日本でも通用する名前にしなければなりませんでした。
そこで、世界の中心に日本を据えると、「はるかヨーロッパ大陸のさらに西にある大きな海」という意味の「大西洋」としたのです。
つまり、「太平洋」の「太」は「太平」の「太」から、「大西洋」の「大」は「大きい」という意味から来ているわけです。