ポスターやガイドブックなどで「小京都」という名をよく目にしますが、このように名乗るにはどんな資格が必要なのでしょうか?
「小京都」の由来は?
「小京都」とは、古い町並みや風情が「京都」に似ていることから、日本の各地に名づけられた街の愛称です。
室町時代以降、各地の大名が京都をまねた街づくりをしたので、それが「小京都」の起源となったとされています。
最近では、観光PRのために「小京都」という名を用いて、日本の古都的な街の景観をアピールする市町は多いです。
「小京都」と名乗るための資格とは?
由緒ありそうな「小京都」と名乗るためには、かなり厳格な条件あるいは資格があるであろうと思ってしまいますが、どうもそうではないようです。
じつは、日本には「小京都」と呼ばれる地域が集まる「全国京都会議」という団体が存在します。
この団体は、本家ともいえる京都市を含む26市町により1985年に結成されました。
この会議に参加するには、次の3つの要件があります。
① 京都と似た自然と景観
② 京都との歴史的つながり
③ 伝統的な産業と芸能が存在していること
これら3つの要件すべてを満足していることが、会議への参加条件かと思いますが、じつはそうではありません。
この3つのうちひとつでも当てはまり、会議で承認されれば「小京都」と認定され、会議に加盟することができるのです。
結構ゆるやかな認定条件といえます。
ちなみに、この会議に加盟している市町は50前後で、新しく加盟するところもあれば、年会費が必要なので予算の都合で脱退するところもあるようです。
しかし、「小京都」と名乗ることが認定されている市町が少なくとも50程度以上あるとは驚きです。
これでは、「小京都」という名の市町が乱立気味で、その価値もずいぶん幅がありそうだと認識をあらためざるをえませんね。
ところが、さらに驚くべきことに、この会議に加盟していなくても、観光宣伝などを目的とした自称、他称の「小京都」は多いようです。
では、実際にいったいどれほどの市町が「小京都」と名乗っているのか興味のあるところですね。
有名な「小京都」は?
全国に多くある「小京都」ですが、わりとよく聞く「○○の小京都」と呼ばれるところを、独断で北から挙げてみます。
- 弘前<陸奥の小京都> (青森県弘前市)
- 金沢<加賀の小京都> (石川県金沢市)
- 西尾<三河の小京都> (愛知県西尾市)
- 飛騨高山<飛騨の小京都> (岐阜県高山市)
- 伊賀上野<伊賀の小京都> (三重県伊賀市)
- 出石(いずし)<但馬の小京都> (兵庫県豊岡市)
- 尾道<瀬戸内の小京都> (広島県尾道市)
- 津和野<山陰の小京都> (島根県鹿足郡津和野町)
- 山口<西の京都> (山口県山口市)
これらのうち、山口だけが「小京都」ではなく「京都」なのですね。
その他にも皆さんがご存知の「小京都」はたくさんあるでしょう。