「シャンパン」と「スパークリングワイン」
シュワシュワとして口当たりが良く、すっきりとした味わいの発泡性のワインを皆さんも味わったことがあるでしょう。
特に、結婚式などお祝いの席の乾杯によく出ますね。
発泡性のあるワインのことを、一般には「スパークリングワイン」と呼びます。
しかし、一方で同じく発泡性の「シャンパン」なるものがあることもご承知でしょう。
日本では両者の違いをあまり認識せず、発泡性ワインの
ことを「シャンパン(古くはシャンペン)」と呼んでいることも結構多いようです。
これらが実際に同じなのか、違うのならば何が違うのかと思われている方も多いと思います。
結論的には、「シャンパン」は「スパークリングワイン」の一種です。
ただし、「シャンパン」という名称は、特定の厳しい基準を満たしたものだけに使用が許されています。
では、まず「シャンパン」について見ていきましょう。
「シャンパン」とは?
「シャンパン」は、正式にはフランス語で「Champagne(シャンパーニュ)」です。
「シャンパン」とは、フランスのAOC(原産地呼称統制法)に規定された基準を満たした発泡性ワインにのみ使用を許される名称です。
この法律に規定された条件には、フランスのシャンパーニュ地方にて醸造されたことをはじめとして、ぶどうの品種、栽培方法や製造方法、アルコール度数などいくつもの項目が設けられています。
こうした厳しい条件をクリアしたものだけが、「シャンパン」として世の中に出回るのです。
ちなみに、特に「シャンパン」の製造方法は伝統的かつ特徴的ですので、その概要を紹介します。
- 普通のワインと同様に原料のぶどうを発酵(一次発酵)させ原酒を製造
- 原酒を1本づつビンに詰めるが、この際糖と酵母を加える。
- ビンの中で、酵母の働きにより再度発酵(二次発酵)が始まる。
- 二次発酵により、ビン内の糖が炭酸ガスとアルコールに変わる。
- 結果として、ビンの中に炭酸ガスが満たされ、ワインの中にも溶け込んでいく。
- ビンのまま寝かされ(普通のシャンパンで最低15ヶ月、年代物だと最低3年)、その後出荷される。
「シャンパン」は値段が高いとよく聞きますが、認定基準が厳しいこと、特にその製造方法が伝統的であり人手がかかることからやむをえない面もあります。
では、「スパークリングワイン」の方はどうでしょうか?
「スパークリングワイン」とは?
「スパークリングワイン」は「シャンパン」も含めた発泡性ワインの総称です。
先に説明したように、「シャンパン」という名称は特定の基準を満たした発泡性ワインにしか使用できない一種のブランドのようなものです。
従って、「シャンパン」以外の発泡性ワインは「スパークリングワイン」と呼ぶべきものです。
「シャンパン」以外の「スパークリングワイン」の種類は、産地、原料のぶどうの種類、製造方法などにより制限されるわけではないので、きわめて多種類のものがあります。
例えば、製造方法だけでも次のようなものがあります。
- 「シャンパン」と同じ、ビン内二次発酵によるもの
- 製造工場の大きなタンクで二次醗酵させた後、ビン詰め
- ワインに直接炭酸ガスを封入した後、ビン詰め
「シャンパン」かどうかの簡単な見分け方
では、最後に「シャンパン」かどうかの簡単な見分け方について説明します。
「シャンパン」である場合、必ずビンのラベルの銘柄の上部に「CHAMPAGNE」あるいは「Champagne」と表示されています(下図の赤枠部参照)ので確認してみて下さい。
尚、「シャンパン」以外の「スパークリングワイン」が美味ではないといっているわけではありません。
「スパークリングワイン」の中には、「シャンパン」以上に有名なもの、美味なものも多くあります。
多くの種類の中からお好みのものを見つけるのも一興でしょう。