日本人と外国人では音に対する感覚が違う?
秋の夜長の風物詩といえば、鈴虫やまつ虫の鳴き声ですね。
日本人はこれを風流と感じますが、欧米人にはただの「雑音」に聞こえるそうです。
そもそも「昆虫を買う」ことを気味悪がる人も多いようです。
音に対する感覚の違いは他にもあり、たとえばお寺などの鐘の音。
欧米でも教会などで鐘を鳴らしますが、お寺では「ゴーン」とついたあと、その余韻を十分に感じたあとに次をつきますが、欧米では連続的に「カラン、カラン」とと鳴らすことが多いようです。
このように、音についての感じ方は、外国人と日本人ではいろいろと違うのです。
食事をするときに立てる音の「寛容度」にも欧米と日本では大きな差があります。
もともと、ナイフ、フォーク、スプーンを使用する欧米の料理は、お皿と触れることによる音がしやすいものです。
だからこそ、音には敏感なのです。
スープを音もたてずに飲むのが正しいマナーとされています。
「そば」を「ズルズル!」と音を立てて食べていいのはなぜ?
もちろん、日本料理でも、食器の音を立てない、クチャクチャと咀嚼する音を立てないなどは、基本的なマナーです。
ただし、「そば」をすするときだけは、「ズルズルッ」と音を立てても良いとされています。
落語家が、扇子を箸に見立てて「そば」をすする仕草を見てわかるように、むしろ音を立ててすするのが江戸っ子の粋でもあるのです。
でも、なぜでしょうか?
そもそも、「そば」の醍醐味は「香り」と「喉越し」です。
それらを楽しめるような食べ方が正解といえます。
「もりそば」や「ざるそば」をつけ汁につけるとき、「そば」の三分の一程度をつけて食べるという作法があります。
これはするにどっぷりと浸してしまうと「そば」の香りがわからなくなってしまうという理由からなのです。
とはいえ、「そば」は縮れていない真っ直ぐな麺なので、つけ汁が絡みにくいです。
のんびりすすっていたら、汁の味がしなくなってしまいます。
勢いよくすすれば、適量の汁を「そば」と一緒に口に入れることができるというわけです。
また、すすることで空気も一緒に口の中に入り、それが鼻に抜けるときに「そば」の香りを感じることができます。
音を立ててすするのには、「そば」を美味しく食べるためという理由があるのです。