相撲力士と聞いて思い浮かぶものは?
相撲力士と聞いて思い浮かぶものはなんでしょうか?
まず思い浮かぶのは、やはり「大銀杏(おおいちょう)」と呼ばれる「まげ」と「まわし」でしょう。
「まわし」とは?
「まわし」は、体と体のぶつかり合いである相撲で唯一身に着けるものであり、一種のユニフォームといってもいいでしょう。
また、「まわし」は、腹部や腰回りを保護する役割もあるとともに、相手方の「まわし」を掴むことでさらに力を出し、さまざまな技を繰り出すことができるのです。
外国人の間では「相撲ベルト」とも呼ばれています。
「まわし」は、引退するまで一度も洗濯しない?
この「まわし」は、力士の汗を吸い込んだり、土俵の土がついたりと激しく汚れてしまうものですが、驚くことに基本的に引退するまで一度も洗濯をしないといいます。
とはいっても、ここでいう「まわし」は、稽古用のものではなく、本場所用のもののことです。
本場所用の「まわし」は、博多織や西陣織の絹製高級織物なので、洗濯すると生地が弱くもろくなってしまい、身体を保護する機能を十分に発揮することができなくなるためです。
それとは別に、験担ぎでで洗わないという意味合いもあるようです。
もちろん、洗濯しないからといって、何の手入れもせずに放置しておくわけではありません。
使用後は土を払って天日干しにして、しみ込んだ汗などを乾かします。
また、衛生面からの配慮として、部分的にアルコールなどで消毒することはあるようです。
ちなみに、稽古用の安価な木綿製「まわし」については、汚れたときに洗濯せずに廃棄して、新しいものに取り替えます。
なお、十両以上の関取は稽古用の「まわし」と本場所用の「まわし」の二種類を使い分けますが、幕下以下の力士は稽古用と本場所用の区別はなく、本場所でも稽古用「まわし」を使用します。
力士の「まわし」には、洗濯以外でも決まりごとがあります。
たとえば、稽古用の「まわし」の色です。
「まわし」の色は決まっている?
稽古用の「まわし」で、白色を使っていいのは十両以上の関取だけで、幕下以下の力士は黒色と決められています。
また、本場所用の「まわし」については、十両以上の関取は紺色や紫色系統の「まわし」を着用すると決められていますが、実際には色とりどりの「まわし」が使われています。
これは、カラーテレビの普及による変化で、1957年(昭和32年)の十一月場所に、玉之海太三郎が金色のいわゆる「カラーまわし」を締めたのが初めとされています。
なお、「まわし」は後援者から贈られる場合がほとんどで、一本70万円から100万円はするというから驚きです。
たしかに高級な絹織物でできているのでしょうが、引退まで一度も洗わないと知ると、少しばかり複雑な気持ちになってしまいそうですね。